知らないと損?大切な傘を長持ちさせる「中綴じ」の話

「お気に入りの傘を大切に使っているのに、最近なんだか生地がたるんできた…」

「傘を開いたとき、以前より生地がバタつく気がする…」

もし、そんな風に感じることがあれば、その原因は傘の骨と生地をつなぐ、とても重要な部分中綴じ(なかとじ)の緩みかもしれません。

 

実は、私たちアンベルに寄せられる修理のご依頼の中でも、この「中綴じのほつれ」は特に多い案件の一つです。

今回は、見過ごされがちながら傘の寿命を左右する「中綴じ」について、その役割から、緩んでしまう意外な原因、そして長くご愛用いただくための秘訣を、傘のプロの視点から詳しくお話しします。

そもそも「中綴じ」ってどこのこと?

「中綴じ」とは、傘の生地と骨を糸で結びつけている、内側の縫製箇所のことを指します。傘を開いて内側から見てみると、骨に沿って数カ所、生地が糸で留められているのがわかるかと思います。それが「中綴じ」です。

この小さな縫製箇所には、とても大切な役割があります。

  • 傘の美しい形を保つ

  • 風を受けた際に生地がバタつくのを防ぎ、骨への負担を減らす

まさに、傘の強度と美しさを支える「縁の下の力持ち」なのです。

なぜ緩むの? 品質は良くても避けられない「中綴じの緩み」

「ちゃんと作られていないから緩むのでは?」と思われるかもしれませんが、実はそうとも限りません。

例えば、アンベルの製品は風速30m/sもの強風を当てる厳しい試験環境下でもほつれないほどの品質で縫製しています。しかし、どれだけ頑丈に作られていても、傘の開閉を繰り返すたびに少しずつ負荷がかかるため、長年のご使用に伴い中綴じが緩んでくるのは、ある程度は仕方のないことなのです。

<風速30m/sもの強風を当てる厳しい試験環境下でもほつれない>
<風速30m/sもの強風を当てる厳しい試験環境下でもほつれない>

そして、その緩みを早めてしまう意外な原因が、実は普段の「たたみ方」に隠されています。

驚かれるかもしれませんが、傘を大切に、きれいに畳もうとされる丁寧な方ほど、無意識に中綴じを傷めてしまっているケースが少なくありません。

 

傘のシワをなくし、きれいに巻くために、生地をグッと強く引っ張りながらたたんでいませんか? その「引っ張る力」が、中綴じの糸に直接的なダメージを与え、緩みやほつれを早める一番の原因になってしまうのです。

【簡単セルフチェック】たかが糸のほつれと侮らないで

一度、ご自身の傘を開いて、中綴じ部分をチェックしてみましょう。内側から傘生地の中心あたりを軽く押し上げ、生地に少し張り(テンション)をかけると、緩んでいる箇所がより分かりやすくなります。糸がぴんと張っておらず緩んでいたり、生地が骨から少し浮き上がっていたりしませんか?

もし緩んだまま使い続けると、こんな危険が潜んでいます。

  • 生地が風でバタつき、骨が折れやすくなる

  • 風にあおられやすくなり、危険

  • 一箇所のほつれが、他の箇所の連鎖的なほつれを引き起こす

たかが糸のほつれ、と軽く考えず、早めに対処することが大切です。

大切な傘を長持ちさせる、たたみ方のコツ

中綴じを長持ちさせる秘訣は、とてもシンプルです。

「傘をたたむ際は、生地を強く引っ張らず、優しくなでるようにシワを整える」

これだけです。「きれいに畳む」ことよりも「生地に負担をかけないように優しく畳む」ことを意識してみてください。それだけで、中綴じへの負担は大きく減り、傘はもっと長持ちしてくれます。

もし緩んでしまったら…お気軽に修理をご依頼ください

もし、すでにお使いの傘の中綴じが緩んでしまっていたら、無理に自分で直そうとせず、ぜひ私たちプロにご相談ください。

中綴じの修理は、傘のメンテナンスの基本です。少しお手入れをしてあげるだけで、また安心して、気持ちよくお使いいただけるようになります。お気に入りの傘を、一日でも長く愛用していただくためのお手伝いができれば幸いです。


※当社の修理サービスは、アンベル(Amvel)製品をご購入いただいたお客様を対象としております。誠に恐れ入りますが、他社製品の修理は承っておりませんので、あらかじめご了承ください。

アンベル製品の修理につきましては、ニュースレターにご登録いただくことで「品質保証」が適用されます。例えば、ご購入から1年以内に通常のご使用で「中綴じ」がほつれた場合は、本保証の範囲内として無償で対応いたします。保証対象かご不明な場合でも、まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。