夏の強い日差しから肌を守るために、日傘は欠かせないアイテムです。お店で日傘を見ると、「遮光率99.99%」といった表示を目にすることがあるでしょう。これは、傘生地が太陽光をどれだけ遮るかを示す、遮光率(しゃこうりつ)の証です。
遮光率が高いほど、日陰が濃くなり、眩しさを軽減する効果が高まります。ここでは、日傘の品質を客観的に証明するこの試験の仕組みや、他の光に関する品質指標との違い、そして遮光率の高い傘を選ぶメリットについて、詳しく見ていきましょう。
遮光率とは、可視光線(目に見える光)を遮る割合のことです。
遮光率99%以上
一般的に、遮光率99%以上の傘は、高い遮光性を備えていると評価されます。これは、太陽光の可視光線の99%を遮断し、わずか1%のみを通過させることを意味します。
遮光率99.99%以上、100%
「完全遮光」と呼ばれることもあり、非常に高いレベルで日差しをカットし、より濃い日陰を作り出すことができます。
この遮光率の数値は、日傘がどれだけ「日陰」を作り出す能力があるかを示す、重要な指標なのです。
日傘の遮光率は、分光光度計という専用の測定機器を用いて厳格に測定されます。この検査は、JIS(日本産業規格)のJIS L 1055 A法という規格に基づいて行われます。
試験片の準備
検査対象となる傘生地から、規定の大きさ(例:5cm×5cm)の試験片を複数枚採取します。
分光光度計での測定
採取した試験片を分光光度計にセットし、特定の波長(可視光線)の光を照射します。このとき、生地がどれだけ光を透過したかを正確に測定します。
遮光率の算出
測定された光線透過率のデータをもとに、以下の計算式で遮光率を算出します。
遮光率(%)= 100 − 光線透過率(%)
この試験により、傘生地一枚一枚の遮光性能が数値で明確になります。
日傘を選ぶ上で重要なこれらの用語は、それぞれ異なる「光」や「熱」に対する性能を示しています。
遮光率
可視光線(目に見える光)を遮る割合です。この数値が高いほど、日陰が濃くなり、眩しさが軽減されます。
UVカット率(紫外線遮蔽率)
紫外線(UV-A、UV-B)を遮る割合です。肌に有害な紫外線を防ぎ、日焼けやシミを防ぐ効果が期待できます。
遮熱率
太陽光に含まれる熱線(主に近赤外線)を遮る割合です。この数値が高いほど、傘の下の温度上昇を抑え、涼しさを感じやすくなります。
遮光率の高い傘は、可視光線を遮るため、紫外線も同時にカットする傾向にあります。しかし、遮光率とUVカット率は異なる性能であるため、両方の数値を確認することが重要です。
日傘の色は、遮光性と遮熱性に影響を与えます。
濃い色の傘
黒や紺といった濃い色の傘は、可視光線(光)の吸収率が高いため、遮光性・UVカット率が高い傾向にあります。しかし、熱(熱線)も吸収しやすいため、生地自体が熱を持ちやすく、傘の下の空間の温度上昇を完全に抑えるのが難しい場合があります。
薄い色の傘
白や薄い色の傘は、熱を反射しやすいため、遮熱性が高くなる傾向にあります。
そのため、遮光性と遮熱性の両方を重視する場合、生地の裏側に特殊なコーティングが施されている製品が非常に効果的です。
当社製品における「100%」の表示は、JIS規格に基づいた試験方法で生地の一部を検査した結果に基づいています。
紫外線遮蔽率: JIS L 1925に準拠
遮光率: JIS L 1055 A法に準拠
これらの検査結果は、あくまで試料(生地の一部)に基づくものであり、製品全体の性能を保証するものではありません。遮光率100%の製品は、一般的に「完全遮光」と言われる製品と同等の品質です。しかし、生地の縫い目などからわずかに光が漏れる可能性があるため、「完全遮光」と断言することは控えさせていただいております。
涼しい: 日差しを遮ることで、直射日光による体感温度の上昇を抑えることができます。
眩しくない: 強い日差しから目を守り、屋外での活動時の眩しさを軽減します。
日焼け防止: 高い遮光性は紫外線も同時にカットする傾向にあるため、日焼け防止効果も期待でき、肌の健康を守ります。
傘を選ぶ際には、遮光率の数値を確認することが、日差しからしっかりと身を守り、快適に過ごすための重要なポイントとなります。
アンベル株式会社では、お客様に安心して日傘をご利用いただくために、厳格な遮光率検査を実施し、品質の高い製品を提供しています。