昨年の10月に国民生活センターより「開いた傘の取っ手を持って素早く左右に回転させると中棒が破損することも」という情報が発表されています。つまり傘を回転させる事によりシャフトが折れてしまうという問題が起きているようです。
この問題について、少し掘り下げてみたいと思います。
対応策① 品質表示下げ札への注意喚起
まずは消費者への注意喚起が必要です。品質表示下げ札へは、「素早く左右に回転させない」旨の表示をしておく事を強く推奨します。アンベル株式会社では2017年から発売する商品から対応済です。
対応策② 傘骨のクオリティーをチェック
中棒(シャフト)が折れる原因は使用状況を詳しく分析する必要がありますが、大きくは2つの原因に絞られていくと考えています。
●シャフトの厚みや太さ不足
シャフトの厚みや太さは傘の全体サイズにより、求められる品質は異なり一概にどれくらいの数値が必要とは書けませんが、一般的な長傘(親骨長さで60cm程度)で素材がスチールであったと仮定した場合、厚みは0.4〜0.45mm/太さは8mm程度は必要かと思われます。粗悪な商品ですと0.4mm以下の厚みの商品が市場にはあったりします。この厚みですと、クルッと回せば一発で破損してしまうと思います。国民生活センターに報告されている商品ももしかしたら厚み不足だったのではないでしょうか?
【補足】生地の重さとのバランスも関係あり
一定の強度が保てる厚みがあったとしても、生地が重い場合は一定の強度以上のシャフト厚みや太さが必要になります。
●ワンタッチ式ジャンプ傘はハジキ溝のカットに注意
ワンタッチ式ジャンプ傘は傘を開くためのボタンがあります。
これを専門用語でハジキと呼びますが、ハジキを埋めこむ為の溝があります。
これがハジキ溝と呼ばれるもので、このカット方法が悪いとシャフトに亀裂が入りやすくなります。
ハジキ溝の角をよく見て下さい。この写真は溝の角が丸くなっています。このような溝形状は傘を回転しても力が分散します。しかしこの溝が四角にカットされているとその角部分を切っ掛けに亀裂が入りやすくなります。
最近では四角にカットされている傘はあまり見かけなくなりましたが、やはり粗悪品にはそこまで配慮されていない可能性があります。