誰も気にしないけど重要なパーツ、菊座の改良

傘製造の仕事をしていると、まれに「傘から雨が漏ってきた!」というクレームに遭遇します。

何がしかの縫製や素材の不良があり、雨が漏る場合があります。

業界基準では1時間に20mmの雨で漏れがなければ、基準を満たしています。

 

ただ最近はゲリラ豪雨と呼ばれる猛烈な雨が短時間に降る場合があり、その場合は雨漏りしても仕方がありません。これは開き直っているのではなく、どうしても針と糸で縫製するモノですから、物理的に仕方がないのです。

 

とはいえ、日々品質に対する研究開発は行っており、最近は菊座を改良中です。

 

菊座とは傘生地を筒状に丸く縫ったもので、それを石突と本体の間に挟みます。これがあれば浸水しにくくなります。いわゆる防水パッキンとしての役目です。

ただ従来の菊座は傘生地を使っているので、そもそも疎水性がよく、雨をよく通すので、その菊座部分を伝って雨が漏れる場合があります。

 

 

通常の菊座


そういったことを防止するため、一部の商品からシリコン素材に変更していく予定です。

シリコンは気密性やクッション性もあり、また経年劣化にも強いので、雨漏りしにくい防水パッキンの役目を果たしてくれると思います。カラーは乳白色のみで、現在のところ生地色に合わせるのはロット的に難しいです。

 

シリコン菊座


また通常の菊座は人の手で縫っていきます。中国では人手不足問題もあり、なるべく人の手に頼らないことも重要です。そして品質のばらつきもあります。シリコンであれば、型さえ決めてしまえば量産が簡単で品質も均一になると考えます。