傘もいよいよPFOAフリーへ

撥水に関わっている方なら、既にご存じとは思いますが、世界的なPFOAフリー化が始まっています。

日本製の撥水生地は、PFOAフリー化が完了しているような感じですが、台湾製や中国製の生地はまだまだ切り替えが完了していないようです。

PFOAとは何かをざっくり説明すると、

  • 撥水にはPFOA(パーフルオロオクタン酸)が含まれている
  • PFOAは人体に蓄積されやすく、長期に摂取すると健康への影響がある(と言われている)
  • 世界的にはPFOAフリーの流れになっている

※詳しくは [ PFOA  撥水 ] などのワードで検索してみてください。

※私は化学的専門知識はありません。生地メーカーさんからの情報を元にこのブログを書いています。

C8からC6へ移行

傘生地には撥水剤を使っており、PFOAを含む C8タイプ(構造が炭素数8以上のもの)の撥水で製造しているのが圧倒的多数で、弊社が製造をお願いしている、台湾の生地メーカーさんでも C8タイプの撥水剤は2021年から製造しなくなります。

代替技術としてPFOAを含まないC6タイプの撥水剤で製造することになり、弊社製品も全面的にPFOAフリーに切り替わっていきます。

OEMでは一部、中国製生地を使うこともあるので、各生地メーカーの切り替え状況の情報を集めているところです。

メリットとデメリット

メリットは有害物質を使わないことで、サスティナブルな製品を作れるということです。

デメリットは2つあり、ひとつはコストアップ、もうひとつは撥水力の低下です。

コストアップは有害物質を使わないことに対する環境コストですから仕方がないですが、生地コストが上がるので、将来的に価格転嫁できるかどうかは非常に不安なところ。

それを逆手にとり、PFOAを含む製品を生産し続け、低単価で流す業者もいると思います。

撥水力の低下についても、専門ではないので、詳しくは検索していただきたいですが、C6は分子の配列上 C8より乱れやすく、撥水性が劣ると言われています。現在C8並の撥水性が出せる代替技術を検討中です。

PFOA

環境中で分解がされないなど、環境への残留性や生物への蓄積性などが問題視され、新たな環境汚染物質として規制の対象となっている。PerFluoroOctanoicAcidの略。

C8

従来から撥水加工に用いられるフッ素系加工剤。ワックスやシリコン系加工剤に比べ、撥水性が高いといわれていて、PFOAを含む撥水剤。REACH規則の制限物質。

(Cは炭素/Carbon 元素記号を表すCを意味しているのだと思います)

C6 PFOAを含まないフッ素系撥水剤、もしくは非フッ素撥水剤。C8に比べると撥水性・撥水耐久性が劣ると言われているが、代替技術も徐々に出てきている。REACH規則の対象外。

傘のOEMで <PFOAフリー> が必須のお客様は、ぜひアンベルへお問い合わせください。

PFOAフリーの傘を製造いたします。お問い合わせは、下カラムのお問い合わせフォームよりご連絡ください。


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Yoshihiro Tsujino / Amvel inc. CEO

1992年、創業明治17年の傘の老舗企業へ入社。営業→企画へとキャリアを積み、「業界初の安全自動開閉傘」や「風に負けない傘」などを開発し耐風傘ブームを作る。その後、役員へと歩むものの、2016年2月に突然の倒産。2016年4月にアンベル株式会社を創業し、「超軽量折りたたみ傘」などの高機能傘の開発に邁進している。

一般社団法人日本日傘男子協会の理事も務める。