遮光傘・遮光率の機能性表示について

ここ最近、アンベル社コーポレートサイトでは「UVカット傘と遮光傘の違い」へのページアクセスが増えています。

増えているというか、ここ一ヶ月は1番見られているページです。

サマーシーズンということもあるとは思いますが、機能性表示について、何らかの疑問や調べごとがあるのかもしれません。

またSNSなどでも、「遮光に関する表示がわかりにくい」というような意見もありましたので、このブログで私なりの意見をまとめてみました。

遮光性能の表示について

遮光に関しては表示がいくつかあり、おおむね以下のような表示が多いと思います。

  • 完全遮光
  • 遮光100%
  • 遮光99.99%
  • 一級遮光
  • 遮光99%

私の見解では、完全遮光/遮光100%/遮光99.99%/一級遮光、この4つは全て同じ意味と理解していただいて問題ないと思います。遮光傘としては最上ランクのものです。

各メーカーの表示方法が異なるだけで、検査機関へ生地検査を実施したら、おそらく同じ結果が出ると思います。

”遮光99%” という表示は最上ではありません

上記に書いた遮光に関する機能性表示5つの中で、”遮光99%”というのは、著しく性能が下がります。

遮光99%と表示してあると、さも性能が良いように見えてしまいますが、遮光99.99%と遮光99%では、雲泥の差です。

高い遮光性能を求める方は、完全遮光/遮光100%/遮光99.99%/一級遮光といった表示の製品をお選びいただいた方がいいと思います。

※もちろん、日除け、熱中対策、紫外線遮蔽といった目的であれば、遮光99%でも使用には全く問題なく、このブログを読まれている方は、遮光率が高い製品について調べている方をターゲットとしています。

手軽に遮光性能をチェックする方法

スマホの懐中電灯機能(LEDライト)を使って、生地にスマホの光を当ててみて下さい。

光が透けるものは遮光99%くらいのもの、光が透けないものは遮光率99.99%以上と思っていただいていいと思います。

※スマホの光の強さによって、微量の光漏れをするかもしれません、おおむね光が透けていなければ、遮光性能が高い生地といえます。

全く透けていない
全く透けていない
若干透けているが、検査は遮光100%の生地
若干透けているが、検査は遮光100%の生地
LEDライトが明確に見える遮光99%生地
LEDライトが明確に見える遮光99%生地

※画像をクリックすると拡大できます

なぜメーカーによって表示にバラツキがあるのか?

遮光傘はおおむね、この二種類があります。

  • 傘生地に遮光フィルムを張った2層構造の生地
  • 傘生地にポリウレタンコーティングをした2層構造の生地

どちらも一定品質以上のものであれば、生地に隙間はないので、遮光率は100%、つまり完全遮光と言えます。

上記のように、性能表示の方法にバラツキがあるのは、検査機関による検査方法の問題と景品表示法が原因と思われます。

検査方法と景品表示法

遮光生地の検査は、生地のみで実施されます。

つまり傘の完成品では検査しません、いや、検査出来ないのです。

これは検査機器によるもので、生地を検査機器にセットして、そこに太陽光同等の光を当てるので、傘の完成品としては検査ができないのです。

 

遮光傘の場合、傘生地を消費者に売るわけではなく、傘の完成品として販売します。完成品になるには、遮光生地を裁断し縫製します。その工程で、ミシンや針を使い縫製しますので、針穴があけば、遮光100%のものが、「完成品になったときは100%ではないであろう」という前提で遮光率99.99% という表示にしているメーカーさんもあります。

 

また景品表示法においても、根拠のない「100%、確実、絶対、完全」という表現は禁じられており、完成品として第三者検査機関による客観的なエビデンスも出ないので、表示をあえて100%というような表現を回避されているメーカーもあると思います。

アンベル社の対応について

アンベル社の遮光傘は「遮光率100%の生地を使った日傘」「完全遮光の生地を使った日傘」という表現にしております。

あくまでも生地の遮光率100%で、このエビデンスは開示可能なものです。

また完成品としては検査ができないので、完成品としての遮光率表示はしない(できない)という方針です。

つまり、生地性能を愚直に表現をしており、また根拠のあるものと考えております。

呼び名 実際は コメント
完全遮光 遮光率100%を意味している

生地として完全遮光なのか、

完成品として完全遮光なのかをメーカーは明確に表示するべき。

遮光率100% 完全遮光と同義

生地として遮光率100%なのか、

完成品として遮光率100%なのかを明確に表示するべき。

遮光率99.99% 断定できないが遮光率100%

生地の検査としては遮光率100%で、あえて100%という表示をしていない。

もしくは、検査会社の数値の出し方として、

遮光率100%でも遮光率99.99%と表示するようになっている。

遮光一級 遮光率99.99%以上 業界団体が作った基準、「99.99%以上」ってもう100%しかないと思うけど。
遮光率99% 遮光としては性能が低い

99%ならいい数字に見えますが、実際には光が漏れるなどあり、

高品質なものをお求めの方には適さない。

確かにこれだけ表示が乱立すると、ユーザーはどれを選んでよいか戸惑ってしまいますよね!

まとめ

遮光率の高い傘をお求めの際は、

  • 遮光率の数字を明確に表示しているメーカーの商品を選びましょう。
  • 遮光率は100% もしくは 99.99%が目安、遮光性の高い商品を探している場合は遮光率99%はNG。
  • スマホのLEDライトを生地にあて、透けるか透けないかをチェック

【2020年11月26日追記】

2020年11月より第三者検査機関の品質検査ルールが変更となり、従来「遮光率100%」とエビデンスが出ていたものが、同じ品質であっても「遮光率99.99%以上」という表記に変更となりました。したがって、「完全遮光」や「遮光率100%」といった表示ができなくなりました。

参考:ブログ「完全遮光」や「遮光100%」といった表示をやめます


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Yoshihiro Tsujino / Amvel inc. CEO

1992年、創業明治17年の傘の老舗企業へ入社。営業→企画へとキャリアを積み、「業界初の安全自動開閉傘」や「風に負けない傘」などを開発し耐風傘ブームを作る。その後、役員へと歩むものの、2016年2月に突然の倒産。2016年4月にアンベル株式会社を創業し、「超軽量折りたたみ傘」などの高機能傘の開発に邁進している。

一般社団法人日本日傘男子協会の理事も務める。