傘の中縫いは、3cm間当たり12目以上

最近アンベル社の商品の類似品が増えている気がします。

商品のマネ自体はどんな業界でもあり競争なので仕方がないですが、アンベル社のホームページやオンラインストアで使っているコピーライティングまでそっくりなモノが出ています。

基本的な文書は私が書きますので、書いた本人だからこそわかる言葉の言い回しは、直感的にマネされたなとわかるのです。

で 先日、そのマネ商品を購入してみました。

販売先や製造元はあえて書きませんが、2つのことが気になりました。

中縫いの運針数が足りない

アンベル社製品 12目基準通り
アンベル社製品 12目基準通り
マネ商品 10目しかない
マネ商品 10目しかない

縫製の「中縫いは3cm間当たり12目以上」という業界基準があります。マネ商品は10目しかなく、全く業界基準に達しておりません。

中縫いの運針数は傘縫製の根幹であり、絶対に守らなければならないものです。運針数が不足すると、縫い目がほつれたり、雨が漏ったりします。

粗悪な品質の工場は運針数が少ないことで、縫製時間が短くなるのでコストダウンに繋がります。また軽量生地を縫製する場合は、生地をミシンにかけるときに滑りやすくなるので、技術的12目は不可能で運針数を少なくしたのかもしれません。

どんな理由があるにせよ、雨が漏るかもしれない傘って必要ですか?また消費者は運針数を数えて商品を購入することなど不可能ですから、最低限の品質基準は守るべきです。

縫込みマークや親骨サイズ表示がない

傘の縫込みマーク
傘の縫込みマーク
親骨の長さ表示
親骨の長さ表示

家庭用品品質表示法では以下のように定められています。

基本的に下げ札やパッケージは購入してから捨てられてしまうので、傘の場合は最低でも製造責任者を表示するマークは縫込みをして付けるのが原則です。

【表示者名等の付記】
表示した者の「氏名又は名称」及び「住所又は電話番号」を付記し、責任の所在を明確にする。
【表示者名等の付記】
表示した者の「氏名又は名称」及び「住所又は電話番号」を付記し、責任の所在を明確にする。
【親骨の長さ】
親骨とは洋傘の生地に密着し、これを支えている主要な骨のこと。この親骨の先端から末端までの長さをセンチメートル単位で表示する(許容範囲は、表示値の±5mm以内)。
折りたたみ式、スライド式等のものは、伸ばした状態で測る。

出典:消費者庁ウェブサイト 家庭用品品質表示法 > 製品別品質表示の手引き > 雑貨工業品一覧表 > 洋傘(https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/zakka/zakka_03.html)

締めの一言

どうせマネするなら、品質を含めてパクってほしいのと、最低限の法律は守りましょう。


この記事を書いた人
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Yoshihiro Tsujino / Amvel inc. CEO

1992年、創業明治17年の傘の老舗企業へ入社。営業→企画へとキャリアを積み、「業界初の安全自動開閉傘」や「風に負けない傘」などを開発し耐風傘ブームを作る。その後、役員へと歩むものの、2016年2月に突然の倒産。2016年4月にアンベル株式会社を創業し、「超軽量折りたたみ傘」などの高機能傘の開発に邁進している。

一般社団法人日本日傘男子協会の理事も務める。