失敗しない傘OEMのために知っておきたい生地・素材の選び方

「オリジナル傘を作りたいけれど、生地なんて色や柄で選べば良いのだろう」

 

もし、このようにお考えでしたら、少しだけ注意が必要です。実は、傘の品質や使い心地、そしてブランドの価値を大きく左右するのが「生地選び」なのです。

 

一見すると単純な布に見える傘の生地ですが、その裏側には長年の経験と最新のテクノロジーが凝縮されています。安易な生地選びは、「きれいに畳めない」「すぐに雨漏りする」「安っぽく見える」といった、OEM製作における致命的な失敗に繋がりかねません。

 

この記事では、皆様の傘OEMを成功に導くため、傘づくりのプロであるアンベルが、生地選びで絶対に押さえておくべき専門的なポイントを解説します。

ポイント1:見た目と機能性の要。「厚み」と「打ち込み」の黄金バランス

傘の生地選びの基本は、生地の「厚み」と「打ち込み(うちこみ)」のバランスです。

 

■ 厚すぎても薄すぎてもNG!絶妙な「厚み」の重要性

まず、生地が厚すぎるとどうなるでしょうか。生地がゴワゴワしてしまい、傘を閉じたときにきれいに畳むことができません。特にコンパクトさが求められる折りたたみ傘では、収納サイズが大きくなり、商品としての魅力を損ないます。

 

一般的な雨傘では厚み0.12mm程度が平均的ですが、0.15mm以上になると、とたんに畳みにくくなります。このわずかな差が使いやすさや見た目の印象を大きく変えるのです。用途やデザイン、ブランドイメージに合わせて最適な厚みを見極めることが、最初の重要なステップです。

 

■ 耐水度を決める「打ち込み本数」と「糸の太さ」

「打ち込み本数」とは、生地1インチ四方にどれだけの糸が織り込まれているかを示す密度のようなものです。この打ち込み本数が多く、使用する糸が太いほど、生地の密度は高まり、雨を通しにくくなります(=耐水度が高まる)。

 

しかし、単純に密度を高くすれば良いというわけではありません。密度を上げれば生地は厚く、重くなり、前述の「畳みにくい」という問題が発生します。ブランドが求める耐水性能と、製品としての使いやすさ(畳みやすさ、軽さ)。この2つの要素を両立させるためには、糸の太さと打ち込み本数の最適な「黄金バランス」を見つけ出す必要があり、ここには専門的な知見が不可欠です。

ポイント2:環境規制と性能維持。「撥水加工」の最前線

傘の性能として最もイメージしやすいのが「撥水性」ではないでしょうか。この撥水加工も、近年大きな変化を迎えています。

 

背景にあるのが、世界的な環境規制の強化です。従来、非常に高い撥水性能を発揮していた「C8」と呼ばれる撥水剤には、環境や人体への影響が懸念されるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)という物質が含まれていました。現在ではこのPFOAの使用が世界的に禁止され、より環境負荷の少ない「C6」や、フッ素を全く含まない「C0(PFCフリー)」といった撥水剤への移行が進んでいます。

 

しかし、この移行には技術的な課題も伴います。一般的に、新しい撥水剤は従来のC8撥水剤ほどの性能を出すことが難しく、同等の撥水性を維持・コントロールするためには、生地との相性を見極め、加工方法を最適化する高度な技術とノウハウが求められるのです。

 

「環境に配慮しつつ、高い撥水性能も実現したい」というご要望に応えるためには、こうした撥水加工の最新動向を熟知したパートナーが欠かせません。

ポイント3:意外な落とし穴!「生地」と「ミシン針」の相性問題

最後に、意外と知られていない、しかし非常に重要なポイントが「生地とミシン針の相性」です。

 

傘は、複数の生地パーツをミシンで縫い合わせて作られます。このとき、生地の繊維の特性とミシン針の相性が悪いと、「目割れ(めわれ)」という現象が起きてしまいます。これは、ミシン針が生地の織り糸を避けるのではなく、断ち切ってしまう現象です。

 

目割れが起きると、縫い目に微小な穴が空き、そこから雨漏りが発生してしまいます。特に高密度なポリエステル生地などは、この目割れが起きやすい傾向にあります。

 

これを防ぐには、生地の特性を正確に理解し、最適な太さや形状のミシン針を選定し、適切な縫製ピッチで仕上げる専門技術が必要です。せっかく高機能な生地を選んでも、縫製技術やノウハウが伴わなければ、その性能を100%引き出すことはできないのです。

まとめ:失敗しない傘OEMは、信頼できるパートナー選びから

ここまで解説してきたように、傘の生地選びは、

  • 厚みと打ち込みのバランス

  • 最新の撥水加工技術

  • 縫製との相性

など、多岐にわたる専門的な知見が複雑に絡み合って成り立っています。これらの要素を一つでも見誤ると、ブランドイメージを損なう製品になりかねません。

 

アンベル株式会社では、長年の傘づくりで培った経験と、常にアップデートされる最新の技術知識に基づき、お客様のブランドコンセプトやご予算、デザインに最適な生地・素材をご提案します。

 

生地選びの段階から、ぜひ私たちアンベルにご相談ください。知見と技術力で、貴社の傘OEMプロジェクトを成功へと導きます。

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