あえて「EVAハンドル」を選ぶのか?傘のプロが語る、握り心地の裏側

EVA素材のハンドル
EVA素材のハンドル

皆さんは、傘のハンドル(手元)の素材を意識したことがありますか?

多くの場合、PP(ポリプロピレン)やABSといった光沢のあるプラスチック、あるいは伝統的な木材、高級感を演出する合皮(合成皮革)などが使われています。

しかし、私たちアンベルの製品には、あえてこれらの主流な素材ではない「EVA(エチレン・ビニル・アセテート)」を採用しているモデルがあります。

傘のハンドルとしてはまだまだ少数派のEVA。今回は、私たちがなぜこの素材を選ぶのか、その隠れた有用性と開発の裏側についてお話しします。

そもそも「EVA」とはどんな素材?

EVAと聞いても、あまり馴染みがないかもしれません。しかし、実は私たちの身の回りで多く使われている非常に身近な素材です。

最も分かりやすい例は、お子様が遊ぶキッズスペースの床に敷かれている、柔らかいマットです。あのクッション性の高い素材が、まさにEVAです。他にも、サンダルのソールやヨガマットなどにも使われています。

軽量で、弾力性があり、水にも強い。それがEVAの大きな特徴です。

傘のハンドルに「EVA」を採用する3つのメリット

では、このEVAを傘のハンドルに使うと、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。

1. 濡れた手でも滑りにくい、優れたグリップ力

EVAの表面には微細な凹凸があり、スポンジのような弾力性を持っています。そのため、雨の中で手が濡れていても、硬いプラスチックのようにツルっと滑ることがなく、手に吸い付くようにしっかりと握ることができます。

2. 傘全体の軽量化に貢献

EVAは非常に軽い素材です。傘は常に持ち歩くものだからこそ、少しでも軽くしたい。ハンドル部分にEVAを採用することは、傘全体の軽量化に繋がり、携帯時の負担を軽減します。

3. 柔らかな握り心地と耐久性

クッション性に優れるため、長時間傘をさしていても手が疲れにくいのが特徴です。また、弾力があるため、万が一地面に落としてしまっても、硬質プラスチックのように欠けたり割れたりする心配がほとんどありません。

【BtoB向け】オリジナル製品開発における隠れた利点

これほど優れた素材が、なぜ傘のハンドルとして少数派なのでしょうか。一つには、木や光沢のあるプラスチックが持つ「伝統的な傘らしさ」とは少し異なる、機能的・スポーティーな見た目にあるかもしれません。

しかし、実はEVAハンドルには、オリジナル製品を企画・開発(OEM)する上で、大きなメリットがあります。それは「金型代の安さ」です。

複雑な形状のプラスチックハンドルをオリジナルで作る場合、金型代は高額になりがちですが、EVAハンドルの場合、シンプルな形状であれば金型代は数万円程度から製作が可能です。これは、小ロットでオリジナルハンドルを作りたい場合に、非常に大きなアドバンテージとなります。

まとめ:最適な「機能」を追求した結果です

私たちがEVAハンドルを採用するのは、それが単に珍しいからではありません。滑りにくさ、軽さ、快適さといった、傘という道具にとっての本質的な「機能」を突き詰めた結果の、論理的な選択なのです。

これからもアンベルは、主流であるかどうかに関わらず、常に時代と用途に合った最適な素材を追求し、お客様にとって本当に価値のある製品をお届けしていきたいと考えています。