傘のオリジナルOEM、最適な数量は?ロットで変わる自由度

オリジナル傘のOEM製作を検討する際、デザインや機能と並んで、多くの方が最初に突き当たるのが「一体、何本から作れるのだろう?」という「数量(ロット)」の問題です。

実はこの計画数量は、作れる傘の仕様やカスタマイズの自由度に直接関わる、非常に重要な要素です。

今回は、傘のOEMにおける数量の考え方と、ロットによって「できること・できないこと」を具体的にお話しします。失敗しないオリジナル傘製作の第一歩として、ぜひご一読ください。

カスタマイズの自由度が広がる、基本ロット「1,200〜2,400本」

まず、私たちが一つの目安としてお客様にお伝えしているのが、「骨の種類一つあたり1,200〜2,400本」という数量です。

なぜこの本数が基準になるかというと、傘の心臓部である「骨」を製造する工場が設定している、基本的な生産ロットだからです。この数量を計画いただくことで、いわば「貸し切り」で一つの生産ラインを動かすイメージとなり、カスタマイズの選択肢が大きく広がります。

1,200〜2,400本で可能になること

  • ハンドルの自由な選定:豊富なバリエーションの中から、ブランドイメージに合ったハンドルを選んだり、場合によってはオリジナルカラーで生産したりすることが可能です。
  • 生地の自由な選定:指定の色で生地を染める「生地染め」からの生産(1色あたり約1,200本〜)や、こだわりの機能性生地を選んだり、自由なプリントを施したりと、選択肢が格段に広がります。

このように、ブランドの世界観を細部まで表現した完全な"オリジナル傘”を目指すのであれば、1,200本以上を計画していただくのが理想的です。

小ロット(1,200本以下)でオリジナル傘を作るには?

もちろん、「まずはテスト的に少ない数から作りたい」「記念品として数百本だけ必要」といったご要望も多々あるかと思います。1,200本に満たない数量の場合は、「既存のパーツを組み合わせて作る」という方法をご提案します。

これは、協力メーカーが常に生産している商品のロットに相乗りする形で確保した、在庫の骨や生地、ハンドルなどを組み合わせてオリジナル傘を製作する方法です。

ただし、この方法には以下のような制限もございます。

  • 選べる骨やパーツが、在庫のあるものに限られる。

  • 生地も、既存のカラーバリエーションから選ぶ形になる。

  • ご要望のスタイルによっては、対応が不可能な場合がある。

少ない数量から製作できるメリットはありますが、カスタマイズの自由度は限られます。小ロットをご希望の場合は、どのような傘が作れるか、まずはお気軽にご相談ください。

小ロットでも効果的!効率よくオリジナル感を出す方法

小ロットだからといって、オリジナリティを諦める必要は全くありません。既存のパーツを使いつつ、少しの工夫でブランドらしさを表現する効率的な方法があります。

  1. シルクスクリーンプリントで名入れ・ロゴ入れ
    最もポピュラーな方法です。無地の傘にブランドロゴやオリジナルのデザインをプリントするだけで、一気に特別な一本になります
  2. 自動開閉傘を活用する
    特に自動開閉式の折りたたみ傘は、小ロットのOEMに適しています。骨・ハンドル石突露先などのパーツが一体の「ユニット」として完成されているため、お客様には生地や袋のデザインだけに集中していただけます。これにより、少ない数量でも非常にオリジナリティの高い傘を効率的に作ることが可能です。実際に300本でオリジナル傘を納品した事例もございます。
  3. デジタルインクジェットプリント生地
    生地のカスタマイズも、小ロットで実現する方法があります。最新の「デジタルインクジェット」技術を用いれば、版を作ることなく、フルカラーで複雑な柄のオリジナル生地を少ない量から生産できます。(カラーに制限がある場合があります)

まとめ:成功の鍵は「デザインと数量」のプランニング

オリジナル傘のOEM製作を成功させるためには、作りたい傘のイメージと、計画している数量のバランスをセットで考えることが不可欠です。

特に、凝った仕様やデザインをご希望されるほど、ロット数が重要になります。スムーズなお打ち合わせのためにも、お問い合わせの際には、ご希望の仕様とご検討中の数量を併せてお聞かせいただけますと幸いです。

  • 1,200〜2,400本以上:ハンドルや生地も自由に選べる、完全なオリジナル傘製作が可能。

  • 1,200本以下(小ロット):既存パーツの組み合わせが基本。プリント等を活用し、効率的にオリジナル感を演出。

私たちアンベルは、お客様からお伺いしたご要望と数量に基づき、実現可能な限り最適な製作プランをご提案します。まずはお気軽にお問い合わせください。


<執筆者:辻野義宏>
アンベル株式会社 CEO。30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。