失敗しない傘OEMメーカーの選び方、運針数を見るべき理由

オリジナル傘のOEM(受託製造)を企画する際、発注担当者様は生地のデザインやハンドルの形状、機能性などに注目しがちです。しかし、傘本来の品質を担保し、長期的なブランド価値を守るためには、もっと地味ながら非常に重要なチェックポイントが存在します。

それが「縫製(ほうせい)」、とりわけ「運針数(うんしんすう)」です。

今回は、傘の品質を左右する運針数の重要性と、OEMメーカーを選定する際にこの点を確認すべき理由について、専門的な視点から解説します。

傘の品質基準「3cmあたり12目以上」というルール

これが1目
これが1目
中縫いには3cmあたり12目以上必要
中縫いには3cmあたり12目以上必要

あまり知られていませんが、傘の縫製には業界内で一定の品質基準が存在します。その一つが、傘生地のパネルを縫い合わせる「中縫い」の運針数です。

 

「3cmあたり12目以上」

 

これが、雨傘・日傘としての品質を保つための一つの目安となる規定です。なぜなら、運針数がこの規定よりも少ない(=縫い目が粗い)場合、針穴と糸の隙間が大きくなり、そこから雨水が漏れ出す原因となるからです。

デザインがいくら優れていても、雨具としての基本性能が低ければ、お客様の信頼を損ねてしまいます。オリジナル傘を製作する上で、この基準を守ることは非常に重要です。

メーカー選定の落とし穴、「当たり前」が守られていない可能性

「そんな基本的なこと、プロのメーカーなら当たり前にやっているのでは?」と思われるかもしれません。確かに、日本国内で長年の業歴を持つ傘メーカーであれば、この運針数の基準を知らないはずはありません。

しかし、ここで注意が必要です。多くのメーカーは、価格や納期、生産能力に応じて複数の取引工場を使い分けています。もし、発注側からの強いコストダウン要求に応えるために、価格の安い工場へオーダーが振られた場合、どうなるでしょうか。

残念ながら、そうした工場では生産効率・スピードを優先するあまり、運針数の基準が守られていないケースも想定されます。結果として、「漏水する」といったなどの重大なトラブルに発展しかねません。

失敗しないために、サンプルチェックで「運針数」の確認を

こうしたリスクを避けるために、私たち傘OEMに携わる者が強く推奨するのが、「サンプルチェックの段階で運針数を確認すること」です。

メジャーを当てて3cmの間に何針縫われているかを数えるだけですが、これだけでそのメーカーの品質管理に対する姿勢を垣間見ることができます。

  • サンプル段階で基準を満たしているか?

  • 量産時にもこの品質基準を維持する体制が整っているか?

こうした確認を行うことが、失敗しないオリジナル傘製作の鍵となります。
運針数のチェックは傘のプロでなくても目視で確認できる品質です。

まとめ:品質は細部に宿る

オリジナル傘のOEM製作は、信頼できるパートナー選びがすべてです。メーカーの知名度や提示価格だけでなく、こうした細かな品質基準を理解し、実行しているかどうかを見極めることが大切です。

 

私たちアンベルは、長年の経験に基づき、運針数をはじめとする縫製基準を厳格に管理しています。品質の高い傘OEMにご興味がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。


<執筆者:辻野義宏>

アンベル株式会社 CEO。30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。