
オリジナル傘のOEMを企画する上で、デザインや生地の機能性に注目が集まりがちですが、傘の「耐久性」や「使い心地」といった根幹を支えているのは、フレームである「骨」に他なりません。
近年、傘の軽量化や耐風性能といった高機能化が急速に進み、それに伴って傘骨に使われる素材も驚くほど多様化しています。
今回は、傘の専門家であるアンベルの視点から、傘骨を構成する素材の種類と特徴、そして最適な構造について徹底解説します。
今も現役!伝統的な金属素材
まずは、昔から傘の骨として使われてきた基本的な金属素材です。
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スチール(鉄) 特徴: 非常に強度が高く、頑丈です。 弱点: 重量があり、錆びやすいというデメリットがあります。 用途: その堅牢さから、現在でもビニール傘や、風に強いことを重視した長傘の一部に使われています。
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アルミ 特徴: スチールに比べて軽量で、錆びにくいのが大きなメリットです。 弱点: 強度ではスチールに劣ります。 用途: 軽さが求められる折りたたみ傘の中棒(シャフト)や親骨によく採用されます。
高機能化を支える、新時代の素材たち
近年の高機能な傘は、下記のような新しい素材を積極的に採用しています。
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グラスファイバー ガラス繊維をプラスチックで固めた複合材料です。「しなやかさ」と「強度」を兼ね備えており、強風を受けた際に骨が折れずにしなって元に戻る、高い耐風性能を実現します。錆びることもありません。
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カーボンファイバー 炭素繊維を用いた素材で、「軽さ」と「強度」において最高クラスの性能を誇ります。非常に高価なため、主にハイエンドモデルの軽量傘に使用され、驚くほどの軽さを実現します。
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POM(ポリアセタール) 骨と骨をつなぐ関節部分(ダボ)などに使われる、自己潤滑性(滑りやすさ)と耐摩耗性に優れた樹脂です。この素材のおかげで、傘はスムーズに、そして故障しにくく開閉することができます。
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PC(ポリカーボネート) 非常に高い強度と硬度を持つ樹脂で、主に傘の開閉時に上下する「ろくろ」など、特に硬さが求められる部位に使われます。負荷がかかる部分の耐久性を高め、長期間の使用でもぐらつきや破損を防ぐ重要な素材です。
高機能の傘は「素材の組み合わせ」で生まれる
重要なのは、優れた傘ほど、決して一つの素材だけでは作られていないという点です。それぞれの素材が持つメリットを最大限に活かすため、適材適所で使い分ける「異素材の組み合わせ」こそが、現代の高機能傘の鍵となります。
<高機能な骨の構造例>
このように、傘全体のコンセプト(軽さ、強度、価格など)に合わせて素材の最適な組み合わせを設計することが、専門メーカーの腕の見せ所です。
アンベルにご相談ください:専門家だからできる最適なご提案
傘のOEMをご依頼いただく際に、傘骨の細部まで素材を指定されるお客様は、正直なところ多くはありません。ほとんどのお客様は、デザインや生地の仕様をご指定されます。
しかし、私たちはそこにこそ、傘の専門家であるアンベルの介在価値があると自負しています。
お客様が思い描くオリジナル傘のコンセプト、例えば「とにかく軽い傘が作りたい」「絶対に折れない頑丈な傘が欲しい」「価格と性能のバランスが取れた傘を」といったご要望をお聞かせいただければ、私たちが長年培ってきた知識と経験に基づき、最適な骨の素材と構造をご提案します。
傘の骨は、目立たないながらも製品の根幹をなす重要なパーツです。ぜひ、私たち専門家の知識をご活用いただき、他社にはない付加価値を持ったオリジナル傘を一緒に作り上げていければ幸いです。
品質の高い傘OEMにご興味がございましたら、ぜひ一度お問い合わせください。
<執筆者:辻野義宏>
アンベル株式会社 CEO。30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。