学童用傘の企画や仕入れを担当されている方にとって、避けて通れないのが「SG基準」です。子どもたちの安全を守るための指標として非常に重要ですが、実は折りたたみ傘の企画を進める際に大きな落とし穴があります。
「学童用の折りたたみ傘でSGマークを取得したい」 そう考えて基準書を開くと、そこには「折りたたみ傘は除く」とはっきり書かれています。
今回は、傘の専門家として、なぜ学童用折りたたみ傘がSG基準の対象外なのか、その背景にある理由を個人的な考察を交えて詳しく解説します。
なぜ折りたたみ傘は「対象外」なのか?
学童用SG基準は、登下校で毎日使う「長傘」をベースに作られています。折りたたみ傘が対象外となっているのには、主に2つの理由があります。
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「頑丈さ」の基準が違いすぎる(個人的な考察)
学童用の基準では、傘を杖代わりにしたり、振り回したりといった子ども特有のハードな動きに耐える強さが求められます。しかし、関節(骨の継ぎ目)が多い折りたたみ傘に長傘と同じ負荷をかけると、どうしても構造的に壊れやすくなります。「軽さ」という折りたたみ傘のメリットと、長傘並みの「頑丈さ」を同じ数値で両立させるのが難しいため、現時点では基準から外されていると考えられます。 -
操作に「大人並みの力」が必要なため(安全上のリスク)
特にボタン一つで開閉する「自動開閉タイプ」は注意が必要です。中棒を縮めるバネの力は非常に強く、万が一操作ミスをして跳ね返ると、100kg以上の衝撃がかかることもあります。筋力が未発達な子どもが使うにはリスクが高いという判断も、基準に含まれない大きな理由の一つでしょう。
基準がないからこそ、開発者が守るべき「自社ルール」
SG基準の対象外だからといって、安全を後回しにしていいわけではありません。むしろ公的なルールがないからこそ、メーカー独自の厳しい視点が求められます。
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長傘の安全ルールを応用する
骨の先端(露先)を丸くする、指を挟まない「はじきカバー」を付けるなど、長傘のSG基準にある「怪我を防ぐ工夫」は積極的に取り入れましょう。 -
「壊れ方」まで計算に入れる
万が一強い力がかかっても、鋭利に折れたり部品が飛び散ったりしないよう、安全性の高い構造やパーツ選びを吟味することが大切です。 -
雨の日の視認性を高める
ドライバーから見えやすいよう、反射材を付けたり、視界を遮らない透明窓を設けたりといった、交通事故を防ぐ配慮も欠かせません。
子どもに伝わる「説明書」を
折りたたみ傘は、子どもにとって少しコツがいる道具です。漢字にルビを振ったり、図解を多用したりして、低学年の子でも「やってはいけない使い方」が直感的にわかる説明書を添えてあげてください。
まとめ
学童用折りたたみ傘にSG基準がないのは、構造や使い方が長傘とは根本的に異なるからです。
しかし、「基準がないからこそ、長傘以上に安全にこだわる」。この姿勢こそが、保護者の方に安心して選んでもらえる、信頼される商品づくりへの近道となります。
<執筆者:辻野義宏> アンベル株式会社 CEO。30年以上に渡って傘の開発および研究を続けている。革新的な機能を追求し続ける日本の傘ブランド「AMVEL (アンベル) 」では、時代によって変化するベストを追求し、最先端の技術を駆使した傘をお届けしています。noteでも執筆中。
