染色堅牢度

傘の「色」を語る染色堅牢度:品質試験から見る美しい色の秘密

お気に入りの傘を長く使いたい。そう願うとき、傘の「色」がどれだけ長持ちするかも重要なポイントになります。傘の生地の色が、日光や雨、摩擦などによってどれだけ変化しにくいかを示す指標、それが染色堅牢度(せんしょくけんろうど)です。この染色堅牢度が高いほど、色褪せや色移りがしにくく、買ったときの美しい色合いを長く保つことができます。ここでは、傘の品質を左右する染色堅牢度の秘密を、7つの品質試験を通して見ていきましょう。

 


染色堅牢度試験の必要性

傘は、その役割上、様々な外的要因にさらされます。

  • 強い日光: 晴れた日に日傘として使うことも多いため、紫外線による色褪せが起きやすいです。

  • 雨や水: 雨に濡れるのはもちろん、傘を閉じたときに残った水滴が、他の服やカバンに触れて色移りする可能性があります。

  • 摩擦: 傘を畳んだり、カバンに入れたりするとき、生地同士が摩擦します。この摩擦によって、色が剥げたり、別のものに色が付着したりすることがあります。

染色堅牢度試験は、これらの外的要因に対する抵抗性を客観的に評価し、消費者が安心して使える品質を保証するために不可欠なプロセスです。


7つの染色堅牢度試験:品質の多角的な検証

傘の染色堅牢度は、単一の試験で測られるものではありません。様々な状況を想定し、以下の7つの項目で多角的に評価されます。 

1. 耐光堅牢度

- 光にどれだけ強いか?
JIS規格に基づいて、人工光源を用いて生地に強い光を照射し、色の変化の度合いを測ります。判定は1級から8級までの9段階で、級数が高いほど日光に強いことを示します。傘生地としては3級以上が望ましいとされています。

2. 水堅牢度(変退色・汚染)

- 雨に濡れても大丈夫?

水に濡れた際に、生地自体の色がどれだけ変化するか(変退色)、そして他の白い生地に色がどれだけ移るか(汚染)を評価します。傘を閉じたときに、傘に残った水滴が衣服に色移りしないかを測る、非常に重要な試験です。判定は1級から5級までの5段階で、3-4級以上が一般的とされています。

3. 耐摩擦堅牢度(湿潤・乾燥)

- 擦れても色が落ちないか?
生地が濡れた状態と乾いた状態のそれぞれで、白い布で生地を摩擦し、白い布への色移りを評価します。傘をカバンに入れたり、畳んだりする際の摩擦による色落ち・色移りを想定した試験です。判定は1級から5級までの5段階で、特に乾燥時の摩擦は3級以上が望ましいとされています。

4. 昇華堅牢度(変退色・汚染)

- 高温でも色が安定しているか? 高温にさらされた際に、生地自体の色がどれだけ変化するか(変退色)、そして他の生地に色がどれだけ移るか(汚染)を評価します。これは、特に夏場の車内など、高温になりやすい場所に傘を置いた際の色落ち・色移りを想定した試験です。判定は1級から5級までの5段階で、3-4級以上が一般的とされています。


美しい色を長く保つための工夫

これらの厳しい品質試験をクリアするために、傘の生地には様々な工夫が凝らされています。

  • 染料の選定: 染料には、顔料や染料など様々な種類がありますが、その中でも外的要因に強いものが選ばれます。特に耐光堅牢度が高い染料を使用することで、紫外線による色褪せを防ぎます。

  • 染色技術: 均一に染めるだけでなく、染料を繊維にしっかりと定着させる高度な染色技術が用いられます。これにより、水や摩擦による色落ち・色移りを防ぎます。

  • 後加工: 染色後に、色落ちや色移りを防ぐための特殊な加工を施すこともあります。

日常生活での注意点

染色堅牢度の高い傘でも、お手入れを怠ると劣化が早まることがあります。

  • 使用後の乾燥: 濡れたまま放置すると、色落ちやカビの原因になります。使用後は必ず水滴を払い落とし、陰干しで完全に乾燥させましょう。

  • 高温の場所を避ける: 昇華堅牢度を考慮し、特に高温になる車内などに長時間放置することは避けましょう。

  • ネームバンドの使い方: 濡れた傘をネームバンドで強く巻き付けると、生地と生地が圧迫され、色移りの原因になることがあります。水滴を軽く拭き取るか、軽くまとめる程度にしておきましょう。

染色堅牢度は、傘の目に見えない品質を語る重要な指標です。この基準をクリアした傘は、ただ雨をしのぐだけでなく、お気に入りの色合いを長く楽しむことができる、安心して使える製品だと言えるでしょう。

アンベル株式会社では、お客様に美しい色合いを長く楽しんでいただくために、これらの厳しい品質試験をクリアした製品をお届けしています。

 

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