手元(ハンドル)

傘の使い心地を決める「手元(ハンドル)」の深掘りガイド

傘を手に取ったとき、最初に触れるのが手元(ハンドル)です。傘を構成する骨、生地に次ぐ、重要な3大パーツの一つであるこの手元は、その握り心地や重さ、デザインが傘全体の印象や使い心地を大きく左右する重要な要素です。単に傘を持つためのパーツではなく、傘の機能性、安全性、そして美観を決定づける重要な役割を担っています。手元の役割、素材、形状、そして品質について、詳しく見ていきましょう。


手元の役割と重要性

手元は、私たちの傘との関わり方をより快適にするために、様々な役割を担っています。

  • 快適な保持: 傘をしっかりと握り、安定して持つための基礎となる部分です。手に馴染む素材や形状は、長時間傘を持っていても疲れにくい快適な使い心地を提供します。

  • 操作性の向上: 傘の開閉動作や、持ち運びをスムーズに行うための操作性を高めます。特にJ字型の手元は、腕にかけて持ち運ぶ際に便利です。

  • デザイン性の表現: 手元は、傘全体のデザインを左右する重要なアクセントです。素材や形状、色などによって、カジュアルな印象から高級感あふれる印象まで、様々な個性を表現することができます。

手元は、傘の機能と見た目の両方を向上させる、非常に重要なパーツなのです。


手元を構成する主な素材とその特徴

手元に使われる素材は多岐にわたり、それぞれ異なる特性を持っています。

  1. 木材
    天然素材ならではの温かみと高級感があります。木材には、一本の木から削り出された天然木と、複数の木材を貼り合わせた合板があります。

    • メリット: 手に馴染みやすく、使うほどに風合いが増します。耐久性も高く、高級傘によく使われます。

    • デメリット: 湿気に弱く、ひび割れや変形が生じることがあります。また、プラスチック製に比べて重く、製造コストも高くなります。

  2. プラスチック(樹脂)
    現在、最も一般的に使われている素材です。

    • メリット: 軽量で安価であり、様々な色や形に加工しやすいのが特徴です。水に濡れても錆びる心配がありません。

    • デメリット: 高級感は劣ります。また、品質の低いものは衝撃で割れることがあります。

  3. 金属
    アルミニウムやスチールなどが使われます。

    • メリット: 高い耐久性を持ち、スタイリッシュでモダンな印象を与えます。

    • デメリット: 冬場は冷たく感じたり、プラスチック製に比べて重くなったりする場合があります。


  4. 合成皮革や本革が使われます。

    • メリット: 高い高級感があり、手に馴染みやすく、滑りにくいのが特徴です。

    • デメリット: 手入れが必要で、水濡れに弱いものもあります。本革は特に高価になります。

 


手元の形状と、使い心地への影響

手元の形状は、持ち運びやすさや握り心地に直結します。

  • ストレート: シンプルな棒状で、握りやすくコンパクトにまとまります。折りたたみ傘に多く見られる形状です。

  • J字型: 傘を腕にかけることができ、持ち運びに便利です。長傘の定番の形状です。

  • 曲線型: 人間の手のひらにフィットするようにデザインされており、握りやすさを追求した形状です。

  • 動物型、キャラクター型: ユニークなデザインが施されており、個性を表現するのに適しています。


飾り手元とは

傘には、手元を持って使うタイプと、中棒を持って使うタイプがあります。軽量化に特化した折りたたみ傘の中には、手元を持たないタイプがあり、これらは「飾り手元」と呼ばれます。

このタイプの傘は、軽量化を最優先しているため、飾り手元は小さく、華奢な作りになっています。そのため、通常の手元のように強い力を加えることを想定していません。

飾り手元を持つ傘は、中棒を直接持って使うことを推奨しています。これは、軽量化と耐久性のバランスを追求した結果であり、傘を安全に長く使うための大切な工夫です。


手元の品質を測る検査項目

手元は、傘の開閉時に直接触れる部分であるため、その品質は厳しく検査されます。

  • 中棒と手元の取付強度: 手元が中棒から外れないか、ぐらつきがないかを確認する試験です。長傘や折りたたみ傘、手開きやジャンプ式など、種類ごとに異なる荷重を加え、その強度を検証します。

  • 回転トルク試験: 傘の開閉時や水滴を払うために振る動作など、手元に回転力が加わったときの接続部分の強度と耐久性を確認する試験です。

  • 手元色落ち基準: 手元に水や汗、摩擦が加わったときに色が落ちないかを確認する試験です。乾燥した白綿布と湿った白綿布をそれぞれ手元にこすりつけ、色移りの程度をチェックします。この基準をクリアすることで、安心して使用できる品質を保証します。

  • 開閉耐久性試験: 傘を繰り返し開閉することで、手元が摩耗したり破損したりしないかを確認します。これにより、日常的な使用における耐久性を保証します。

これらの検査は、手元の安全性と耐久性を確保するために不可欠な工程です。

 

アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、素材選びから構造設計に至るまで、細部にまでこだわって製品開発を行っています。

 

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