遮熱率

日傘の涼しさの秘密「遮熱率」とは?品質試験から選び方まで徹底解説

夏の強い日差しの中、日傘をさしたときに「涼しい!」と感じるのはなぜでしょうか?その涼しさを生み出すカギが、傘が太陽の熱をどれだけ遮るかを示す遮熱率(しゃねつりつ)です。

遮熱率が高い傘は、傘の下に涼しい日陰を作り出し、体感温度を下げてくれます。ここでは、日傘の品質を客観的に証明するこの試験の仕組みや、他の品質指標との違い、そして遮熱効果の高い日傘を選ぶメリットについて、詳しく見ていきましょう。


遮熱率とは?

遮熱率とは、太陽光に含まれる熱線(主に近赤外線)を遮断する割合のことです。

  • 遮熱率が高いほど
    熱を通しにくく、傘の下の温度上昇を抑える効果が高まります。

遮熱率は、太陽光の「熱」という要素に特化した性能であり、日傘の「涼しさ」を測るための最も重要な指標なのです。


遮熱率検査の仕組みと方法

日傘の遮熱率は、分光光度計という専用の測定機器を用いて厳格に測定されます。この検査は、JIS(日本産業規格)のJIS L 1055 A法という規格に基づいて行われます。

【重要】この検査は、あくまで生地の物性のみを評価するものであり、製品全体の性能を保証するものではありません。

遮熱率検査の手順

  • 試験片の準備
    検査対象となる傘生地から、規定の大きさの試験片を複数枚採取します。
  • 分光光度計での測定
    採取した試験片に太陽光を模した光を当て、透過する熱量(近赤外線)を測定します。
  • 遮熱率の算出
    測定されたデータをもとに、遮熱率を計算します。この試験により、傘生地一枚一枚の遮熱性能が数値で明確になります。

遮熱率のランク(検査機関による評価)

遮熱率には、JIS規格のような明確な等級分類はありませんが、検査機関によっては独自の評価基準を設けている場合があります。

例えば、多くの検査機関で、遮熱率の数値に応じてS35S45といったランク付けが行われています。このランクは、以下のように分類されることが一般的です。

区分記号 遮熱率(%)
S65+ 65%以上

S55

55%以上〜65%未満

S45

45%以上〜55%未満

S35

35%以上〜45%未満

S25

25%以上〜35%未満

一般的に、遮熱率35%以上(S35以上)であれば遮熱効果があるとされており、数値やランクが高いほど遮熱性能が優れていると判断されます。


遮熱率、UVカット率、遮光率の違い

日傘を選ぶ上で重要なこれらの用語は、それぞれ異なる「光」や「熱」に対する性能を示しています。

  • 遮熱率
    太陽光に含まれる熱線(近赤外線)を遮る割合です。この数値が高いほど、傘の下が涼しく感じられます。

  • UVカット率
    紫外線(UV-A、UV-B)を遮る割合です。日焼けやシミの原因となる紫外線を防ぐ効果が期待できます。

  • 遮光率
    可視光線(目に見える光)を遮る割合です。この数値が高いほど、日陰が濃くなり、眩しさが軽減されます。

遮熱率、UVカット率、遮光率はそれぞれ独立した性能ですが、優れた日傘はこれらすべてを高いレベルで兼ね備えています。


色と遮熱性の関係

日傘の色は、遮光性と遮熱性に影響を与えます。

  • 濃い色の傘
    黒や紺などの濃い色の傘は、可視光線(光)の吸収率が高いため、遮光性やUVカット率が高い傾向にあります。しかし、熱も吸収しやすいため、生地自体が熱を持ち、傘の下の温度上昇を抑えるのが難しい場合があります。

  • 薄い色の傘
    白や薄い色の傘は、光や熱を反射しやすいため、遮熱性が高くなる傾向にあります。

そのため、涼しさを重視するなら、白や薄い色の傘を選ぶか、生地の裏側に特殊なコーティングが施されている製品を選ぶのが効果的です。


遮熱率の高い傘を選ぶメリット

  • 涼しい
    熱線を遮ることで、直射日光による体感温度の上昇を抑え、涼しく快適に過ごすことができます。

  • 熱中症対策
    日傘による日陰効果と合わせて、熱中症対策に有効です。

  • 紫外線対策
    多くの場合、遮熱性の高い傘はUVカット効果も高いため、日焼け対策にもなります。

遮熱率の数値を確認することは、日傘を賢く選び、夏の暑さを快適に乗り切るための重要なポイントとなります。


アンベル株式会社では、お客様に涼しく快適に過ごしていただくために、厳格な遮熱率検査を実施し、品質の高い製品を提供しています。

 

▶ もし、傘についてさらに詳しく知りたいことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。