雨水を弾き、水滴がコロコロと転がり落ちる傘の撥水性能。この快適な使い心地を支える技術が、今、大きな転換期を迎えています。長年、撥水加工の主流であったフッ素系撥水剤が、環境や人体への影響が懸念されるようになったからです。
ここでは、傘の撥水とフッ素問題の背景、そして環境に優しい傘を選ぶためのヒントを詳しく見ていきましょう。
従来の撥水加工には、PFOA(パーフルオロオクタン酸)やPFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)といったフッ素系化合物が使われてきました。これらは、優れた撥水性能を持つ一方で、以下のような問題点が指摘されています。
環境中での分解が難しい: これらの物質は自然界で分解されにくく、長期にわたって残留することが知られています。
生体への蓄積: 環境中に放出された後、食物連鎖を通じて動物や人間の体内に蓄積され、健康への影響が懸念されています。
日本でも、フッ素系化合物の製造や輸入を規制する動きが進んでいます。 化審法(化学物質審査規制法)という法律では、PFOAやPFOSを「第一種特定化学物質」に指定し、製造や輸入を原則禁止としています。
ただし、ここで重要なのは、傘自体は化審法の規制対象ではないという点です。化審法は、化学物質の製造や使用を規制する法律であり、長時間肌に触れたり、口に入れるものではない傘は直接の規制対象にはなりません。
とはいえ、傘メーカーには、社会的な責任として、環境や人体への影響に配慮した製品作りが求められます。そのため、多くのメーカーがフッ素フリー撥水剤への切り替えを積極的に進めているのです。
フッ素系撥水剤に代わるものとして、現在ではさまざまなフッ素フリー撥水剤が開発されています。
シリコン系撥水剤: 比較的安価で撥水性も高いですが、耐久性が低いのが課題です。
パラフィン系撥水剤: 天然由来の成分で安全性が高いですが、撥水性や耐久性でフッ素系に劣る傾向があります。
アクリル系撥水剤: 撥水性と耐久性のバランスが良いですが、コストが高いのが課題です。
フッ素フリー撥水剤は、まだ発展途上であり、フッ素系に比べると性能面で劣る部分もあります。しかし、技術革新によりその性能は日々向上しており、今後の進化が期待されています。
傘メーカーは、法規制に対応しながら、環境や人体に配慮したフッ素フリー撥水剤を採用していく必要があります。
消費者として、環境に配慮した傘を選ぶためには、以下の点に注目してみましょう。
フッ素フリーの表示: 商品タグやウェブサイトに「フッ素フリー」や「非フッ素」といった表示があるか確認してみましょう。
撥水性能と耐久性: フッ素フリー撥水剤はまだ性能にばらつきがあるため、撥水性能や耐久性についての表示も合わせて確認することが大切です。
メーカーの姿勢: アンベル株式会社のように、環境に配慮した製品作りを積極的に行っているメーカーを選ぶことも一つの方法です。
フッ素フリーの撥水技術は、これからの時代に求められる大切な技術です。今後、より高性能で環境に優しい傘が普及していくことが期待されます。
アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、環境に配慮した製品開発を推進しています。
▶ もし、傘についてさらに詳しく知りたいことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。