中棒の曲げ強さ

傘の耐久性を支える「中棒の曲げ強さ」試験とは?その品質基準を徹底解説

傘の骨組みを支える心棒、それが中棒(シャフト)です。傘をさしているとき、中棒には常に上からの重みや、風によってねじれる力がかかっています。もし中棒の強度が不十分だと、曲がったり折れたりして傘が使えなくなってしまいます。

このような事態を防ぐために、中棒の曲げ強さ試験は、傘の安全性と耐久性を確保する上で非常に重要な品質試験です。この試験は、特に長傘の品質を語る上で欠かせないプロセスです。ここでは、その仕組みと基準について、詳しく見ていきましょう。


なぜ中棒の曲げ強さ試験が必要なのか?

傘の中棒は、傘のすべての構成要素を繋ぎとめる、いわば「傘の背骨」です。開閉時や強風時、さらには立てかけたときや持ち運ぶときなど、日常のあらゆる場面で様々な負荷を受けます。

  • 中棒の破損リスク: 中棒の強度が不足していると、傘が開閉する際に曲がってしまったり、強風で折れてしまったりする可能性があります。

  • 傘の機能不全: 中棒が曲がると、傘の開閉がスムーズに行えなくなり、ろくろの動きに支障をきたすなど、傘全体の機能に悪影響を及ぼします。

この試験は、中棒が使用中の負荷に耐えられる十分な強度を持っていることを確認し、安全性を確保するために不可欠なものです。


中棒の曲げ強さ試験の仕組みと方法

この試験は、長傘を対象として、中棒が受けるであろう静的な力を再現して行われます。

試験方法

  1. 傘の設置と測定: 傘を閉じた状態で水平に置き、手元を固定します。石突の先端までの高さを正確に測定します。ジャンプ式傘の場合は、バネの力がかからないよう、安全機構を解除した状態にします。

  2. 荷重の印加: 石突の先端部に、1.5kg(約15N)のおもりを静かに吊るし、1分間保持します。

  3. 変形量の確認: おもりを取り外し、再度石突の先端までの高さを測定します。このとき、おもりを吊るす前と後で、中棒がどれだけ変形したか(残留たわみ)を確認します。

  4. 破断の確認: 次に、傘生地と親骨を取り外した状態で、再度中棒に荷重をかけ、中棒の長さの5分の1までたわませ、1分間保持します。中棒に破断がないかを目視で確認します。

※学童用傘の場合は、より厳格な安全基準が求められるため、2kgのおもりを使用します。


試験結果の判定基準

この試験には、厳格な判定基準が設けられています。

  • 残留たわみ: 荷重を加えた後、中棒に残った変形量(残留たわみ)が、中棒の長さの10分の1以下であること。

  • 破断: 中棒に亀裂、破損、使用上支障がある緩み、変形などがなく、中棒の長さの5分の1までたわませても破断しないこと。

これらの基準をクリアすることで、中棒が十分な強度を持っていると判断されます。


傘の品質を総合的に評価する

中棒の強度は、傘の品質を測る上で非常に重要な要素ですが、それだけで全てが決まるわけではありません。傘の品質や安全性は、親骨や受骨といった他の骨組みの強度、傘生地の品質、そして開閉のスムーズさなど、様々な要素が組み合わさって総合的に評価されます。


アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、このような厳格な品質試験をクリアした製品をお届けしています。

 

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