中棒と手元の取付強度

傘の「持ちやすさ」と「安全性」を科学する

毎日使う傘だからこそ、手元が中棒から外れたり、ぐらついたりしては困りますよね。

傘の中棒と手元の取付強度は、こうした不安を取り除くために、業界で定められた厳格な基準に基づき、厳格に試験されています。この試験は、傘の「持ちやすさ」という使い心地の良さと、「安全性」という最も重要な品質を科学的に証明するためのものです。


なぜ手元の取付強度が重要なのか?

傘は、手元を握って使用するものです。そのため、開閉時や強風に煽られた際など、中棒と手元の接続部分には常に大きな力が加わります。特に、以下のような状況では、この接続部分に大きな負荷がかかります。

  • 強風時: 風に煽られて傘が揺れたとき、手元を握る手に大きな力が加わります。この力に耐えられないと、手元が中棒から外れてしまう可能性があります。

  • 開閉時: 特にジャンプ傘など、自動で開閉する傘は、瞬時に強い力がかかります。

  • 日常的な衝撃: 傘を地面に突いて歩く、どこかにぶつけるといった日常的な衝撃でも、手元に負荷がかかります。

この試験は、このような事態を未然に防ぎ、使用者が安心して傘を使えるようにすることを目的としています。


試験の概要と評価方法

「中棒と手元又は飾り手元の取付強度」試験は、以下のような手順で行われます。

【試験の具体的な手順】

  1. 手元が中棒から抜ける方向に、特定の静荷重を加えます。
  2. その荷重を1分間保持します。

  3. 荷重を取り除いた後、中棒と手元に「き裂、緩み、抜け」などの異常がないかを細かく目視で確認します。

【加える荷重の基準】

傘の種類や開閉方式によって、加える荷重の大きさが異なります。

これは、それぞれの傘にかかる負荷の違いを考慮しているためです。

  • 長傘

    • 手開き式540 N(約55 kg) 手で開閉する長傘でも、50kgを超える力に耐えられるかを確認します。

    • ジャンプ式600 N(約61 kg) ジャンプ傘は、開く瞬間に強い力がかかるため、より高い荷重に耐えられるかが求められます。

  • 折りたたみ傘

    • 手開き式350 N(約35 kg) コンパクトで持ち運びやすいため、長傘よりも軽い荷重が設定されています。

    • 飾り手元を持つ折りたたみ傘は、200 N(約20 kg)となります。これは、装飾性を重視しているため、通常の手元よりも強度の基準が緩和されていることを示しています。

    • ジャンプ式600 N(約61 kg) 長傘のジャンプ式と同様に、開閉時の強い力に耐えられるかが重要視されます。


飾り手元とは?

傘には、手元を持って使うタイプと、中棒を持って使うタイプがあります。軽量化に特化した折りたたみ傘の中には、手元を持たないタイプがあり、これらは「飾り手元」と呼ばれます。

 

このタイプの傘は、軽量化を最優先しているため、飾り手元は小さく、華奢な作りになっています。そのため、通常の手元のように強い力を加えることを想定していません。

 

飾り手元を持つ傘は、中棒を直接持って使うことを推奨しています。これは、軽量化と耐久性のバランスを追求した結果であり、傘を安全に長く使うための大切な工夫です。


この試験が保証するもの

この試験をクリアした傘は、使用中に手元が外れる、ぐらつくといった不具合が生じにくい、高い安全性と耐久性を持っていると判断できます。特にジャンプ式傘は、開閉時の強い衝撃にも耐え、手元がしっかりと固定されていることを保証します。

 

アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、すべての製品でこのような厳格な品質試験を行っています。目に見えない部分にまでこだわった品質管理が、丈夫で長持ちする傘を生み出すための大切なプロセスなのです。

 

▶ もし、傘についてさらに詳しく知りたいことがあれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。