折りたたみ傘をスムーズに使うには、中棒をしっかりと引き伸ばす必要があります。この「引き伸ばす」という動作に耐えうる耐久性を測るのが、中棒の引張強さ試験です。中棒が抜けてしまっては、傘としての役割を果たせません。この試験は、特に折りたたみ傘の品質を語る上で欠かせない、重要な品質管理のプロセスです。
ここでは、その仕組みと、関連する他の引張強度試験の基準について、詳しく見ていきましょう。
折りたたみ傘は、中棒が複数のパイプで構成されており、それを伸ばしたり縮めたりして使います。このとき、中棒の接続部分には常に大きな引張力(引っ張る力)がかかります。
中棒の破損リスク: 中棒の接続部分の強度が不足していると、傘を伸ばす際の力によって中棒が抜けてしまう可能性があります。
傘の機能不全: 中棒が抜けると、傘を広げることができなくなり、製品としての機能が完全に失われてしまいます。
この試験は、このような事態を未然に防ぎ、中棒が十分な強度を持っていることを確認するために不可欠なものです。
この試験は、折りたたみ傘を対象として、中棒の引張強度を客観的に評価します。
試験片のセット: 中棒を完全に伸ばした状態で、専用の引張試験機にセットします。手元部分を下のつかみで、中棒の先端部分を上のつかみで固定します。
荷重の印加: 引張試験機で350N(およそ35.7kg)の荷重を中棒に加え、1分間保持します。
判定: 荷重を取り除いた後、中棒の接合部に緩みや抜け、破損などの異常がないかを目視で確認します。
中棒の接合部に緩みや抜けなどの異常がないこと。
この基準をクリアすることで、中棒が使用中の引張力に耐えられる十分な強度を持っていると判断されます。
中棒は、手元やろくろといった他のパーツとも強く結びついています。そのため、中棒自体の強度だけでなく、これらの接続部分の強度も厳格に試験されます。
これらの試験基準は、長年にわたり業界で培われてきたノウハウに基づき、傘の安全性と耐久性を確保するために定められています。
アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、すべての製品でこのような厳格な品質試験を行っています。目に見えない部分にまでこだわった品質管理が、丈夫で長持ちする傘を生み出すための大切なプロセスなのです。