傘の中縫い

傘の品質を決める「中縫い」とは?職人技が光る縫製の秘密を徹底解説

傘を広げたとき、何枚もの生地が美しいドーム状に広がる姿は、それ自体が一つの芸術です。この傘のカバーを形作る、小さな三角形の生地片(こま)とこまを縫い合わせる工程を、中縫い(なかぬい)と呼びます。

中縫いは、傘の骨組みを支え、雨水を防ぎ、そして美しいシルエットを作り出す、傘の品質を左右する非常に重要な工程です。ここでは、熟練の技術が光る中縫いの世界を、その工程や重要性、そして品質基準を通して詳しく見ていきましょう。


中縫いの工程と職人技

中縫いは、単に布を縫い合わせるだけでなく、傘が持つ様々な機能を支えるための緻密な作業です。

  1. こまの準備: 裁断された複数のこまを、縫製しやすいように丁寧に整理します。

  2. ミシンへのセット: 傘のカバーは開閉時に生地が伸縮するため、一般的なミシンではなく、鎖状の縫い目を作る「単環縫いミシン」がよく使われます。

  3. 縫製: 熟練の職人が、こまを一枚ずつミシンにセットし、丁寧に縫い合わせていきます。このとき、傘の形状や生地の種類に合わせて、縫い目のテンション(張り)を適切に調整することが、美しい仕上がりと強度を両立させる鍵となります。

  4. 繋ぎ合わせ: 縫い合わせたこまをさらに繋ぎ合わせ、最終的な傘のカバーの形に仕上げていきます。

中縫いは、長年の経験で培われた職人の感覚が非常に重要となる作業です。


中縫いが傘にもたらす3つの重要性

中縫いは、傘の品質を決定づける上で、以下の3つの重要な役割を担っています。

  • 強度: 中縫いがしっかりしていないと、傘が風に煽られた際に縫い目から破れてしまったり、骨組みに無理な力がかかって歪んだりする原因になります。

  • 防水性: 中縫いの縫い目が粗いと、そこから雨水が浸入してくる可能性があります。緻密な縫製が、雨水を防ぐための大切なバリアとなります。

  • 美観: 中縫いがずれていたり、縫い目のテンションが均一でなかったりすると、傘のシルエットが崩れ、見た目が悪くなってしまいます。美しい中縫いは、傘の品質の高さを物語ります。


縫製の品質基準

中縫いの品質を測る一つの基準として、「3cm当たり12目以上」という針数が挙げられます。これは、傘の耐久性や防水性を保つために、縫い目が緻密である必要があるからです。

  • 測定方法: この針数は、生地の一部を広げ、金属製の定規で3cm間の針の数を数えることで確認されます。

  • 注意点: ただし、生地の素材によっては、規定の針数以下になる場合もあります。

この基準は、傘の品質を維持するために不可欠な指標です。

 

アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、熟練の職人による丁寧な中縫いをはじめ、全ての製造工程で徹底した品質管理を行っています。

 

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