お気に入りの傘を畳んだとき、濃い色の生地が、淡い色の生地や、一緒に持ち運んでいたカバンに色が移ってしまった…。そんな経験はありませんか?この、まるで魔法のように色が移動する現象を、傘の世界では移行昇華(いこうしょうか)と呼びます。
これは、傘のポリエステル生地で使われた染料が、特定の条件で気体となり、別の場所に付着することで起こる、色移りの一種です。ここでは、移行昇華がなぜ起こるのか、その原因と対策、そして傘を選ぶ上での注意点について、詳しく見ていきましょう。
移行昇華は、以下の3つの要素が組み合わさることで起こりやすくなります。
高温多湿: 染料は、熱や湿気によって気体になりやすくなります。特に、真夏の車内や、湿気の多い場所で傘を保管すると、染料が気化し、色移りが起こりやすくなります。
摩擦: 傘を畳んだり、収納袋に入れたりする際に、生地同士が擦れ合うことで、染料が物理的に移行することがあります。
密閉状態: 濡れた傘を収納袋に入れたまま長時間放置すると、高温多湿の状態が生まれやすく、気化した染料が逃げ場を失って傘の別の部分や収納袋に付着しやすくなります。
この現象は、特に黒、紺、赤などの濃い色のポリエステル生地で起こりやすいと言われています。
移行昇華は、現在の技術を用いても完全に解決することができない事象です。
移行昇華は、日々の少しの工夫で防ぐことができます。大切な傘を長く美しく保つために、以下の点に注意しましょう。
風通しの良い場所で保管する: 傘をしまう際は、風通しの良い場所に置き、湿気を逃がしましょう。
濡れたまま放置しない: 使用後は、水滴を払い落とし、陰干しでしっかりと乾燥させてから保管しましょう。
高温多湿を避ける: 真夏の車内や暖房器具の近くなど、高温多湿になる場所での保管は避けましょう。
収納袋に長時間入れない: 収納袋は一時的な持ち運びには便利ですが、長時間入れっぱなしにすると、湿気がこもり、移行昇華の原因となります。
移行昇華は、傘の品質や寿命に影響を与える可能性があるため、傘を選ぶ上でも重要なポイントとなります。
素材で選ぶ: ポリエステルと染め方が異なるナイロンは、比較的移行昇華が起こりにくい素材です。
価格で選ぶ: 安価な傘は、染料の質が低い場合があり、移行昇華が起こりやすいため注意が必要です。
メーカーの信頼性: 信頼できるメーカーは、移行昇華が起こりにくい染料や染色方法を採用するなど、品質管理を徹底しています。
移行昇華は、傘の品質や寿命に影響を与える可能性があります。適切な保管方法を守ることで、お気に入りの傘を長く大切に使いましょう。
アンベル株式会社では、お客様に安心して傘をお使いいただくために、移行昇華が起こりにくい素材選びや品質管理を徹底しています。