傘の耐久性試験:開閉500回が示す品質の証

傘の購入を検討する際、デザインや色、価格はもちろん大切ですが、最も重要なのは「長く使えるかどうか」です。

特に、傘の開閉操作は使用頻度が高く、耐久性が問われる部分です。

ここでは、傘の品質を評価する上で重要な指標となる「開閉500回耐久性試験」について詳しく解説します。


開閉500回試験とは?

この試験は、傘の基本性能である「開く⇔閉じる」動作を繰り返し行うことで、製品の耐久性を確認するものです。

  • 試験方法: 傘のネームバンドを外した状態で、1分間に6回の速さで合計500回の開閉操作を行います。折りたたみ傘の場合は、中棒を伸ばした状態で行います。

  • なぜ500回?: この回数は、日常的な使用における開閉動作を想定したものです。例えば、週に2回傘を使い、1回の外出で2回開閉すると仮定すると、1年間で約200回の開閉となります。500回という回数は、おおよそ2年から3年程度の使用に相当し、製品が長期の使用に耐えうるかを判断するのに適した回数と言えます。

試験でチェックされるポイント

単に500回開閉できれば良いわけではありません。試験終了後には、以下の項目を目視で厳しくチェックし、使用に支障がないことを確認します。

  1. 開閉操作の円滑性: 500回後も、開閉がスムーズに行えるかどうかを調べます。引っかかりや異音がないことが重要です。

  2. 各部の緩みや破損: 親骨だぼ、だぼと受骨といった可動部の緩みや破損がないかを確認します。これらの部分は、開閉時に最も負荷がかかるため、耐久性が問われる重要なポイントです。

  3. 中棒の変形・折れ: 中棒が曲がったり、折れたりしていないかをチェックします。特に、折りたたみ傘の中棒は、伸縮を繰り返すため、変形しやすい箇所です。

  4. 手元のがたつき: ハンドル(手元)がぐらついたり、外れたりしていないかを確認します。安全に使用するためには、しっかり固定されていることが不可欠です。

  5. 生地の異常: 傘生地にほつれや破れがないかを確認します。生地の耐久性も、傘の寿命を左右する重要な要素です。

これらのチェック項目をクリアして初めて、「耐久性がある傘」と評価されます。


QTEC基準との比較

日本の傘の品質評価基準には、QTEC(日本繊維製品品質技術センター)が定める基準があります。QTECの耐久性試験は、傘の開閉操作を100回繰り返した後、異常の有無を確認するものです。

  • QTECの試験方法: 1分間に5回の速さで、開閉動作を100回繰り返します。折りたたみ傘の場合は、中棒の伸縮や親骨・先親骨の折り曲げも含まれます。

  • 基準: 各部に亀裂、破損、変形がなく、スムーズに動くことが合格基準となります。

QTECの基準は、初期不良や欠陥がないことを確認するのに役立ちます。一方、500回開閉試験は、より長期的な使用に耐えうるかを評価する、さらに厳しい耐久性テストと言えます。


耐久性が高い傘を選ぶメリット

耐久性の高い傘を選ぶことは、単に長持ちするだけでなく、様々なメリットがあります。

  • 安心感: 突然の雨風に見舞われても、傘が壊れる心配が少なく、安心して使用できます。

  • 経済性: 頻繁に買い替える必要がなくなり、結果的にコストを抑えることができます。

  • 環境への配慮: 廃棄される傘の数を減らし、環境負荷の低減にも貢献します。

傘の耐久性は、目に見えない部分ですが、製品の品質を左右する非常に重要な要素です。次に傘を選ぶ際は、「開閉耐久性」を一つの基準として、長く愛用できる一品を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

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